講座レポート

主催事業 男女共同参画週間事業

真由美先生 白熱教室 ~ 男女格差世界ランク101位!? おくれてたまるか日本女子!

実施日

2013年6月23日(日) 14:00~16:00

講師

谷口真由美(大阪国際大学現代社会学部法律政策学科准教授)
1975年、大阪生まれ。大阪大学大学院国際公共政策研究科博士後期課程修了。専門は国際人権法・ジェンダー法。大阪大学で非常勤講師として担当した「日本国憲法」の講義“DJマユミ”の恋愛講座’で話題をよび、「大阪大学共通教育賞」を受賞する。長く研究してきたリプロダクティブ・ライツやワーク・ライフ・バランスなどをテーマにしたさまざまな講演を行い、「日本女性会議2010きょうと」では、全体会のコーディネーターを務めた。娘と息子、広告業界で働く夫の4人家族。

講座紹介

「学生時代は男女格差をあまり感じなかったけど、就職した会社の管理職は男性ばかり…」「出産したら仕事をやめるしかなくなった…」「子育てが終わって再就職しようにも仕事がみつからない…」などなど、日本の女性に立ちはだかる壁は高いと感じたことはありませんか。なんと、日本は男女格差が世界ランク101位という国なのです。国際的なルールの中で、日本の女性の権利はどういう位置にあるのか、日本はどれだけ遅れているのか。女性差別撤廃条約、男女共同参画社会基本法など男女共同参画の基本的な歩みを知り、なぜこのような男女格差が生まれるのか、それをどう解決していくのか。「全日本おばちゃん党」で話題を呼んだ谷口真由美さんと一緒に、日本女性の未来を考えました。

【男女共同参画の意味】
谷口さんのお話は「参画」という言葉の解説からはじまりました。「男女共同参画という言葉は行政用語で一般的ではないかもしれませんが、『参画』は『参加』と意味が異なります。『参画』は自ら主体的に考えて行動すること、自らが意思決定過程にかかわることです」 「参画」は日常的にはあまり使わない言葉ですが、そこに思いが込められているということです。続いて「ジェンダー」という言葉について解説がありました。 「男女共同参画基本法は、英語にするとジェンダー・イクオリティ・ロウとなります。ジェンダーってなんでしょうか。ジェンダーは『社会的、文化的な性』と訳しますが、それでも全てではありません。また男女といっても、男か女この2つのカテゴリーでいいのでしょうか。性的マイノリティー、LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー)の人もいます。トランスジェンダーは性同一障害と訳されますが、それは障害でしょうか。それは障害ではなく個性なのです。一般的に『家族』とは父母と子ども2人の4人世帯という固定観念があり、そこからはずれる人は世間では受け入れられにくい傾向にあります。マイノリティーの人は『自分は何者なのか?』と常に問われる側にいます。マジョリティーは、自分の存在についてあまり考えないですみます。男女共同参画の視点からすると女性がマイノリティーとなります。今の社会は男のための男のシステムで動いています」

【日本はジェンダー平等か】
日本はジェンダー平等の国でしょうか。谷口さんが女子大生に尋ねると「日本は女性差別のない国」という答えが多いのですが、彼女たちも社会にでて働きだすとこの国は平等でないことに気付きます。しかし時すでに遅し、です。 谷口さんは自分も子育をしている経験を通して、女性が働き続けることが難しい現状を語ります。 「女性は結婚、出産で仕事を辞める、辞めざるをえない場合が多くあります。私自身も子育てをしながら働くことがこんなに大変とは思っていませんでした。毎日、匍匐前進です。子どもが熱を出すとまず女性が休む調整をはじめます。保育所も何か起こったら母親へ連絡が入ります。女の人が働き続けるのには障壁が多いのです。日本は女性が結婚、出産で仕事を辞めるので20歳代半ばから40歳代にかけて労働力が減少し<女性の年齢階級別の労働力の推移(下記資料A、B:第1-2-2図、5図)>にM字カーブができます。スウェーデンは減らないのできれいな台形です。日本政府の目標は、このM字を底あげすることです。M字がさがっている年代はタワーレンジといって、一番キャリアを形成する時期です。このときキャリアを形成しないと将来良いポジションつけない、つまり稼げないことになります。30歳代は責任ある仕事を任される時期で、その時期に休むと仕事を任せられないことにつながります。子どもが熱を出して保育所に迎えに行くために退社する人には重要なポジションを任せない、それは男性による男性のための男性のシステムだからそうなるのです。これは違うシステムができない限り続きます」

【社会によってつくられてきた男女の格差】
男女間の不平等は賃金格差にも現れています。所定内給与格差は、同じ仕事をして男性100とすると女性は70.6。正社員は男性100とすると女性は70となります(下記資料C:第1-3-14図)。OECDの中で男女間格差が大きいのは日本と韓国で、単身女性の貧困率が高くなっています。 ここには構造的な問題があり、働きたい人が働ける環境づくりができていないと、谷口さんは日本の労働環境の現状を解説します。 「税収を増やすメリットもあるということで、安倍政権の3本目の成長戦略のなかに女性活用があげられています。M字カーブの下がったところで女性労働者が減少し、男性労働者に負荷かかり過剰労働へとつながります。毎日12時間以上働いている男性が過労死、うつ病を発症するケースもあります。仕事しすぎて死ぬ、なんておかしいですよね。男性も人としての生き方ができていないということです。人間は人生の半分以上は、ケアが必要とされます。20歳までは保護者がいて60歳をすぎると介護が必要となってきます。現在はケアの大半を女性が担っています。家事労働やケアを外注したら年間700万円かかるといわれています。会社でお金を稼ぐだけが偉いわけではありません。稼ぎ手を支えるために、女性が家庭で育児、家事、介護などをしているから稼げるのです。家庭での女性の支えがあってこそ、外で稼ぐことができるのです。しかし、『アナタがそうやって外で稼げるのは誰のおかげ』とは言いにくい。ちゃんとした反論ができない仕組みを社会がつくってしまっています」

【ジェンダーギャップ指数、世界ランク101位から脱出するために】
谷口さんは、安倍政権の「育休」に関する施策についても疑問を投げかけます。「育休3年、抱っこし放題、と安倍首相が言っています。女性活用の分野でなぜ育休3年がでてくるかというと、3歳児神話からです。3歳児神話は根拠などありません。育休を3年とれる会社なんてありますか、あったら紹介して欲しいものです。たとえ3年とれる会社であっても、とっている人はいないでしょう。3年休むと取り残されます。3年間、預ける保育所もないのに、その間にキャリアップするなんてありえません。やってみてから言ってもらいたい。まあ『3年とりたい、とれる』という選択肢が増えるのはいいことですが、『それをやらない母親はひどい』とか言われるのも問題です。日本は、子ども手当の現金給付も最低ランクです。子育てへのサポートを一番必要と思っている層の声が反映されてないのは、女性の議員比率の低さからきています」 日本はジェンダー・ギャップ指数が世界101位の国です(下記資料D:ジェンダー・ギャップ指数)。人として生きていくにはいいが女として生きていくにはよくない男女不平等の国といえます。ではこのような現状を変えるために、私たちに何ができるのでしょうか。谷口さんよりアドバイスをいただきました。 「日々、いろいろなことにアンテナをたてておく必要があります。ジェンダーという言葉に敏感になること。アンテナをさげず周波数あげるためには、勉強が必要です。単純に雰囲気に流されるのはよくない、他の誰かの生きづらさに敏感になることも大切です。男女共同参画について、さらりと流すのではなく、じっくり調べてみる。すてっぷの講座を役立てるのもいいと思います」

アンケートより

●学歴がないことを憂えていたが、勉強すればいいのだと教えてもらった。
●夫、息子にも投げかけていきたい。
●日頃から感じていたことをわかりやすい例えや数値などをあげて説明してもらえて共感した。
●改めて女性の社会参画の低さを実感。
●社会問題に気づき、中身を知ることが大切。
●授業で男女差について聴くことはあったが、今日の話で現状がよくかわった。
●ジェンダーについて男女だけではなく性的マイノリティも含め広くわかりやすく学べた。「参画、ジェンダー」についても振り返ることができた。
●ジェンダーについてアンテナを立てていきたい。
●男女共同参画は本当に進むのか?と悩む。先生の熱い発言はとても力になった。

参考資料

A.女性の年齢階級別労働力率の推移 H24年男女共同参画白書 第1-2-2図
B.女性の年齢階級別労働力率(国際比較)H24年男女共同参画白書 第1-2-5図
C.男女間所定内給与格差の推移 H24年男女共同参画白書 第1-3-14図
D.ジェンダー・ギャップ指数(男女平等の度合いを指数化)2012

ページの上へ戻る