講座レポート

主催事業 森田ゆり講演会

実施日

2013年5月11日(土) 13:00~15:30

講師

森田 ゆり (もりたゆり)
エンパワメント・センター主宰。米国と日本で子どもと女性への暴力防止に携わる専門職養成に長年携わる。そのうち7年間は、カリフォルニア大学主任研究員として人権問題の研修プログラム開発と研修指導に当たる。現在は、虐待や人権問題全般に携わる研修活動を日本各地で行っている。『しつけと体罰』『多様性トレーニングガイド』など著書多数。

講座紹介

 すてっぷでは、2013年5月11日(土)に森田ゆりさんを招いて講演会を開催しました。体罰が原因で自ら命を絶った高校生の事件が大きくクローズアップされたこともあり、人権問題として関心が高まっていました。急きょ開催したこの講演会には、豊中や大阪府内、遠くは北海道などから約60人が参加されました。オープニングは、手話で歌の心を表現するグループ「高槻Sign Orchestra(サイン・オーケストラ)」の8人による手話歌が披露され、会場は和やかな雰囲気に包まれました。ここでは、森田さんの講演要旨をお伝えします。(編集部) 。  講座の冒頭に森田さんは、「人のしあわせは『愛されること』『ほめられること』『人の役に立てること』が満たされることだ」という言葉を紹介されました。裏を返せばこの言葉は、体罰が人のしあわせを脅かす行為であることを意味します。 体罰は「しない」「させない」  森田さんは、長年子どもの虐待やドメスティック・バイオレンス防止に関わってきた経験を通して、体罰は時には必要という考え方にストレスや孤立といった状況が加わることによって身体的虐待につながるケースが多いことから、まず「いかなる体罰も許さないという考え方が広く浸透することが不可欠だ」と強調されました。  日本での体罰を歴史的にみると、意外なことに明治以前は学校や家庭では、ほぼ体罰が行われておらず子どもが尊重される社会だったのに、1930 年代から軍隊が鉄拳制裁を行うようになり、その影響が教育現場にも及んで現在に至っていることが分かります。  一方、スウェーデンでは「子どもたちは一人格として尊重され、扱われなければならない」という体罰禁止の法律をつくり国を挙げてキャンペーンを展開した結果、体罰をする親の割合も子どもの犯罪も激減するという効果をあげました。  したがって体罰はその社会で子どもがどのくらい大事にされているのかを示すものだとされました。 しつけと体罰に代わる 関わり方  次に体罰に代わる関わり方を考えたとき、「しつけ」の目的は子どもの自律・自立を支援することだから、事細かに子どもの行動を規律する「躾」ではなく「仕付け糸」のイメージで大人は大まかな枠組みを示すという捉え方を提案されました。その際、子どものいいところを探して励ますためには、大人の訓練が必要です。  また、子どもがほかの子を叩く、言うことを聞かない、嘘をつくなどいわゆる問題行動をした時にも、表面には「怒り」や「攻撃的行動」として出てくる裏側にあるその子の「悲しさ」「恐れ」「自信のなさ」などの負の感情を言語化して共感することで子どもの気持ちに寄り添うことができます。  会場からは「体罰容認派への伝え方がわかった」「体罰に代わる関わり方をとても具体的に説明していただいたので、できることを一つひとつ取り入れていけるようにしたい」といった声が寄せられ、子どもたちと関わる現場で悩む人たちの問題解決に大きな一助となる講演となりました。

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