「平成23年度地域における男女共同参画連携支援事業」(内閣府助成金事業)
とよなか女性防災プロジェクト

『とよなか女性防災プロジェクト』ニュースレター 第1号

2011年(平成23年)10月21日発行

『とよなか女性防災プロジェクト』 第1回検討委員会を開催しました

委員会概要

第1回検討委員会の様子
  • 日時:2011年10月6日(木曜日)14時~16時
  • 場所:すてっぷ視聴覚室 
  • 出席者数:20名
  • 内容:講師のお話、検討委員からの意見
  • 講師:正井礼子(NPO法人女性と子ども支援センター ウィメンズネット・こうべ代表理事
  • 検討委員会 出席団体

 

■相川康子さんのお話

『女性の視点から災害時の課題と解決方法をさぐる
       ~阪神・淡路大震災の検証、そして東日本大震災の被災地を訪問して~』

阪神・淡路大震災のあった年の95年2月に女性支援ネットワークをたちあげ、それから約2年間「ウィメンズネット・こうべ」で被災した女性を支援した。今年の5月に東日本大震災・女性支援ネットワークを立ち上げ、福島県、宮城県を訪問し、そこでみえた女性のおかれた現実、そこにどのような問題があるのか伝えていきたい。

1.阪神・淡路大震災で女性が1000人多く亡くなった ―浮き彫りになった女性問題

阪神・淡路大震災では男性より女性が1000人多く亡くなっている。それは女性たちの「老いの貧しさ」が関係している。高齢女性は古い文化住宅で被災し、女性の住宅問題が浮きぼりとなった。母子家庭の貧困問題もある。母子家庭の平均年収は約220万円、父子家庭は約420万円、母子家庭は全国平均所得の約3割の収入といわれる。パート労働者の解雇もあり、阪神・淡路大震災では約10万人もの女性が解雇された。解雇された女性は雇用保険にも入っていなかった。働く女性の無権利状態は震災だからではなく平時も同様で、女性労働者の50%以上が非正規労働者である。女性の雇用は、東日本大震災でも問題となっている。

2.阪神・淡路大震災後「女性支援ネットワーク」をたちあげて

女性のための電話相談を開設した。『震災後、夫からの暴力が増えたが、逃げる先がわからない』など多くの相談が寄せられた。相談者の多くが「皆さんが被災して困っているなか、こんな家庭内のつまらないもめごとを相談する私はわがままでしょうか」と悩んでいた。女性だけの語り合いの場として、連続セミナーを開催、5月に「女性とからだのセミナー」を開催した。マスコミで流される美しい家族愛や美談ではない、女性の本音を語り合った。 

1990年のアメリカの報告書には「災害による失業や家財の喪失は、多くの女性にとって選択範囲を狭める。虐待の危険性が高い状況におかれても1人で経済的に生き延びていける能力があるかどうかの不安は、女性が住み慣れた環境を抜け出すことを通常以上に困難にした」と書かれている。避難所や仮設でセクハラが起きないようにリーダーになる人に、日頃からジェンダートレーニング、DV・性暴力防止研修をする必要がある。

3.避難所がかかえる問題 ―女性が運営に参画していなかった

都道府県の避難所マニュアルを読むと「避難所に地域リーダーを入れること」と記されているが、そこに「女性を3割入れる」などの記載はない。東日本大震災では、内閣府から何度も「避難所の運営に女性を入れなさい」という要望書が出された。しかし避難所に行ってみるとリーダーは圧倒的に男性が多かった。「女性を入れなさい」ではなく、具体的に数字として明記しなくてはだめだと実感した。

4.「女性のための電話相談」から見えたこと

パープルダイヤル全国ホットラインを今年の2月から実施していたところ、東日本大震災があった3月11日以降電話が殺到し、2カ月間で約600件受けた。これは当団体のほぼ1年間分の相談件数になる。被災地からの相談はほとんどなく、過去に性暴力被害にあった女性から「津波の映像を見て過去の経験を思い出し、すごく不安になった」という内容が多かった。アメリカの報告書の中で、DV防止に取り組む「暴力を選ばない男たちの会」は、「地震を暴力の口実にしてはいけない。妻を殴る前に僕たちに電話して欲しい」とキャンペーンを張り、「災害状況下の家庭内暴力を家庭内のつまらないもめごとと考えないように日頃の教育が必要である」ことを提言した。日頃からDVへの正しい情報を伝え、身体的暴力だけではなく暴言、束縛、無視も暴力であるということを女性たちに教育し「どんな時でもあなたは暴力を受けないで生きる権利がある」ということを知らせることが大事である。

5.災害時における女性と子どもへの暴力 ―ドメスティック・バイオレンス、性暴力

アメリカで2005年のハリケーンカトリーナのあとに出された冊子「被災地における性暴力~防止と対応のためのマニュアル~」がある。このなかには「2000人以上、1つの避難所に収容しない」「安全が確保できないような場所や性暴力が起こりそうな場所があればそこを立ち入り禁止にする」「希望者がいれば生活、睡眠の場所を女性用、男性用に分ける」「特別な擁護が必要な人、被害にあいやすそうな人が分断されないようにする」「門限、消灯時間を決め、消灯後は警備を増加する」など、性被害を防止するための具体的な対策が書いてある。被害にあう危険性の高い人が、分断されないことが大切である。

6.防災や復興対策に女性の参画を! ―意思決定の場に女性を

復興に関する政策決定になぜ女性がかかわれないのか検証する必要がある。国の復興会議に女性は内館牧子さん1人しかいない。日本では、日頃から意思決定の場に女性の参加が少ない。

今年の男女共同参画白書によると「日本は女性の国会議員の比率は世界の121位。わずか11%」とある。男女間の格差も日本は134カ国中で94位。そのような状況が続いてきた日本では、復興委員会に女性がいなくてもおかしいと思わなくなってしまっている。今回、女性は「守るべき存在」ではあったが、女性が「意思決定の場に参加する存在」であるとまでは考えられていない。そこを改善していかなくてはならない。

国に対して防災会議に女性を3割入れるように要望しているが実現は難しいようだ。女性が3割から4割いないと意見は反映できない。女性を入れることに時間がかかるのなら、女性防災会議を提案していきたい。各都道府県レベルで政策提言できる女性をリストアップして、女性防災会議をつくることを提案する。

7.防災は日常から始まる

―女性が結婚してもしなくても一人でも安心して暮らせる社会

「どのような社会的資源があるか」「どのような街づくりがなされているか」「この街の女性政策がどこまですすんでいるのか」「女性が街づくりなど、意思決定の場にどれだけ参画できているか」。日常的な場での官民における「女性に対する暴力」防止・被害者支援のネットワークづくりが必要だ。

「とよなか女性防災プロジェクト」に期待している。このように「防災ノート」作成のために集まってネットワークができることに大きな意義がある。公共団体、民間、市民団体、いろいろな団体のネットワークができていると、災害時に大きな力になる。

■参加者からの意見

「避難所での話を聞いて女性の意見を反映する必要を感じた」「避難所の運営マニュアルに女性の視点を入れていきたい」「現場でどのような支援が必要なのか個別に検証し、豊中市の今あるサービスを使って何ができるのか考えていく」「普段社会的に力を奪われている人に視点を当て、このプロジェクトに参加していきたい」

●今後の予定
2011年11月:第2回検討委員会  12月:第3回検討委員会
2012年1~3月:「とよなか女性防災ノート」作成、「とよなか女性防災キット」提案

主催

財団法人とよなか男女共同参画推進財団
〒560-0026 大阪府豊中市玉井町1-1-1-501
TEL 06-6844-9773 FAX 06-6844-9706

ページの上へ戻る