「平成23年度地域における男女共同参画連携支援事業」(内閣府助成金事業)
とよなか女性防災プロジェクト

『とよなか女性防災プロジェクト』ニュースレター 第2号

2011年(平成23年)11月21日発行

『とよなか女性防災プロジェクト』 第2回検討委員会を開催しました

委員会概要

第2回検討委員会の様子
  • 日時:2011年11月10日(木曜日)14時半~16時半
  • 場所:すてっぷセミナー室
  • 出席者数:20名
  • 内容:講師のお話、検討委員からの意見
  • 講師:相川康子(特定非営利活動法人 NPO政策研究所専務理事)
  • 検討委員会 出席団体

 

■相川康子さんのお話  『現行の防災対策の「穴」をさぐる』

神戸新聞社で生活部の記者をしていたときに阪神・淡路大震災にあい、その後、防災・復興まちづくり、環境、女性等の社説を担当した。当時、女性で防災担当はめずらしかった。新聞社退社後、神戸大学経済経営研究所准教授として地域連携に携わり、去年からNPO政策研究所の役員として、各地のコミュニティ政策や総合計画などを手伝っている。豊中市では「地域自治システム調査検討委員会」の委員として調査検討を行った。

1.「減災」への取り組みと、「社会的弱者」と呼ばれる人たちへの思いやり

「減災」とは災害を想定し、そのダメージを減らすために建物を耐震化したり家具を固定したり、逃げ方を知っていること。温暖化による水害を防ぐためのエコな暮らし、森林を保全し土砂災害を防ぐなども含まれる。災害を大きくする要因を防止するとともに、災害時に取り残される弱者への思いやりが必要だ。要支援者として高齢者、障害者、外国人、乳幼児など想定されるが、行政のリストに載っていなくても、ちょっとしたことで生活基盤を失う人がたくさんいる。潜在的な社会的弱者がたくさんいることに気がつくことが大切である。

「防災は男の仕事、専門職の仕事」という固定的な考えを、市民目線で見直すことが必要だ。災害のダメージは普段から脆弱な人や場所に集中的に現れる。阪神・淡路大震災では高齢者女性の死亡者が多かった。格差の問題もあり、シングルマザー、非正規雇用の人は一旦職を失うと、元の生活に戻るのが大変だ。災害が起こってから手を差し伸べるのも大事だが、普段からその脆弱性を改善する取組みが大切である。

2.阪神・淡路大震災の教訓

2004年は大きな災害が多く、台風23号で豊岡市が大規模水害、その3日後に新潟県中越地震、12月にインド洋大津波が起こった。阪神・淡路大震災から復興の10年検証をしているさなかに見る被災地にショックを受けた。この10年何も変わっていない、女性たちが同じ苦しみを味わっていた。被災地にいた私たちがこの問題に気づき、検証し、データを残し、世の中に発信していけなかったことへの反省も含め、震災10年を機に再検証、再発信が行われるようになった。ジェンダー統計(男女別、年齢別に統計すると社会の脆弱性、矛盾が見える)の必要性を感じたが10年たつと資料もあまり残っていない。それがないので、阪神・淡路大震災で女性のおかれた状況について「記憶」の話はできるが、「記録」の話ができないことがもどかしい。

阪神・淡路大震災では「旧来の性別役割分業」をそのまま引きずって復興計画が立てられたように思える。兵庫県「阪神・淡路大震災復興計画策定調査会」の委員50人中、女性は7人(14%)。神戸市「復興計画審議会」は100人中、女性は7人(7%)。震災前、この地域での政策決定の場への女性参加は19%程度あった。国の政策目標の20%をほぼ達成していたが、震災復興ではそれが下がってしまった。いかに男女共同参画が根付いていなかったかを思い知らされ、そのなかで復興計画が立てられたのは痛恨の極みである。

3.女性と防災の現状と課題

現在、防災会議の女性委員の割合は都道府県平均で4.1%。10都県ではゼロ。「2020年までに指導的地位に占める女性の割合が30%程度」という政策目標があるが、防災分野は1桁低い。消防団員も女性の割合は2.2%。地域の自主防災で女性がリーダーを占める団体は約3.6%(07年の関西3府県大都市調査)という現状がある。

女性向けの防災講座や研修は、「炊き出し訓練」「防空頭巾や非常用袋の作り方講習」「災害を想定した調理実習」「子どものケア」など旧来の性別役割分業に基づいた「妻役割」や「母親役割」を想定したプログラムが多い。未婚や子どもがいない女性は「想定外」となっている。防災訓練においても女性はリーダーシップをとるような消火活動、避難誘導、避難所設営の訓練はさせてもらっていない。地方自治体も避難所に粉ミルク、生理用ナプキン、紙オムツの3点セットは置くようになったがそこから先になかなか進まない。

4.災害に強いまち、とは

地域ごとに災害へのリスク、対応は異なる。地形、気象、人口、年代、世帯、昼夜間人口など、住民自身がそのまちの特性を知り、それに合った方策を考えることが大切だ。豊中市の人口は減少傾向にあり、高齢化が進む。世帯あたりの人員が減少し、単身世帯、二人世帯が増加している。そうなると自助、共助という言葉もこれまでとは異なってくる。昼そこに住んでいる人だけの避難訓練でいいのか。豊中市は地域の自治会の加入率は4割から9割と、まだらである。一律のやり方ではだめで、住民自身がまちの特性を知り、それにあった方策を皆で考える必要がある。災害にも強いまちとは
▽普段から住民同士の関係が良好
▽閉鎖的ではなく風通しが良く、ネットワークがある
▽新参者、女性、若い人、誰もが声をあげられる
▽住民が地元に愛着を持つ▽住民が地形の特性など災害リスクを知っている
…などの要素がある。住民一人ひとりが自分の問題として考えることが大切だ。

5.地域防災(減災)のポイント

◆地域防災のポイントは、
(1)リスクの正しい把握
(2)減災の対処法の体得(あきらめない)
(3)一人ひとりの対処能力を高める
(4)日常の暮らしの中で、できることの積み重ね
(5)地域内の事業者、学校、専門家、近隣、遠方のネットワークなどである。
多くの人を巻き込み、怖がらせるだけでなく「楽しくできること」を探す。その際、旧来の性別役割分担意識に囚われないメニューを考える必要がある。

◆普段から様々なアプローチが必要である。
(1)地域福祉→要援護者になりそうな人の把握、声かけ、複数の見守り体制、防犯との連携
(2)環境保全→緑化、雨水や井戸水の利用、水路の保全
(3)生涯学習→過去の災害史を調べる。どのように先人が災害を乗り切ったかなどを調べる
(4)青少年育成→服を着せて泳がせる、体育館を使った1泊防災キャンプ
(5)都市農村交流→近隣あるいは遠方とのつながりが命綱となることも。
「防災」と言わなくても、やっているうちに防災も含めた地域の総合力となる活動を続ける。

◆女性に対しては2つの視点を両立させることが重要。
(1)「災害時要援護者」として捕え、必要なニーズを満たし、不利にならないように支援する、
(2)防災・減災・復興の取組の主体と捕え、エンパワメントする。

自然災害は増え続ける。一方、家族も地域も変化し、以前できていた共助もできなくなってしまう。防災にこれさえやれば大丈夫、という特効薬はない。試行錯誤で、新しい共助を模索していくしかないが、その際、女性、障害者、外国人ら当事者が参加できるかどうかが重要だ。女性が前向きな提案をしたときに受け止めてくれる男性も必要だ。だれもが発言できる男女共同参画社会というのは防災戦略を考える第一歩である。

■参加者からの意見

「女性としてエンパワメントする部分と災害時の弱者としてのバランスが難しい」「自治会加入率が低いなど無関心層が増えていることは深刻な問題だ」「地域の団体と学校が普段から避難所の運営について話し合うことが必要」「自分の地域から被害にあう人をだしたくないという思いで地域活動を続けてきたが、まだまだやることは多い」「私たちも何かあったときは指示待ちではなく、自分で動くための行動力をつける必要がある」

●今後の予定
2011年12月:第3回検討委員会
2012年1~3月:「とよなか女性防災ノート」作成、「とよなか女性防災キット」提案

主催

財団法人とよなか男女共同参画推進財団
〒560-0026 大阪府豊中市玉井町1-1-1-501
TEL 06-6844-9773 FAX 06-6844-9706

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