裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち

書籍名裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち
著者上間 陽子
出版
情報
太田出版 2017年
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記号
367.6ウ

世代を超えて受け継がれる貧困の中で、親兄弟から、恋人から、ある時は医師や役所からも見捨てられ、暴力を振るわれ、搾取されながらも、沖縄の夜の街で懸命に生きる6人の少女たち。研究者として虐待された少女たちに長年寄り添う活動を続けてきた著者が、少女たちへのインタビューを元に書き起こした、初の単著である。

印象的な逸話があった。キャバクラで働く少女は、恋人にボコボコに殴られ、「顔が腫れていることから仕事場に行けない」と、同僚の親友に連絡を取る。かけつけた親友が取った最初の行動は、なんと「私も殴られたようなメイクをして来たから一緒に記念写真を撮ろう!」だった。

暴力を受けた側の少女たちは、誰にも頼ることが許されず、自分たちの受けた状況を笑い飛ばしながら、自らの足だけで歩もうとしていた。本来ならば、大人の庇護の中で安全に育ち、学校に行き、将来を夢見る時期に、“成熟”を強いられた少女たち。弱いもの、幼いもの、辺境にいるものから搾取するような社会構造に、私たちは知らず知らずのうちに加担しているのではないか。

11月24日には、当センターで著者の上間陽子さんをお迎えし「暴力にさらされる少女たちと共に生きる」と題した講演会を開催する。課題に気づいた私たちにできることは何なのか、著者の肉声を通してしっかりと考える機会にしたい。

(A・E)