イーブン

イーブン
書籍名イーブン
著者村上 しいこ
出版情報小学館 2020年
請求記号913/ム/児

 この物語の冒頭は、主人公が空き巣泥棒と遭遇する場面から始まります。
タイトルの「イーブン」(均等なや同じなどの意味)から人間関係の問題で始まると予想していましたが、空き巣泥棒と遭遇する展開には驚きました。

 本書の主人公は中学一年生の女の子です。
DVが原因で両親が離婚し、自分自身の友達関係が、うまくいかず不登校になり、日中は祖母の家に行っています。
その日々の中で出会ったのが、16歳の男の子「トム」でした。

 登場人物の中にはそれぞれ、何かしらの生きづらさや問題などを抱えています。人との出会いや行動を起こすことにより、主人公たちにも変化が生まれます。
主人公たちが、どのように自分自身や様々な問題と向き合っていくのかも見どころのひとつです。

 また、この作品は児童書でありながら、なにげない母娘の会話にDVや夫婦別姓などの話題が登場します。ほかにも、児童虐待や里親制度にも触れられています。
決して、軽い題材の児童書ではないのですが、主人公の視点でストーリーが展開されていくので、スラスラと内容を読み進めていくことができます。
子どもだけでなく大人もぜひ読んで欲しい1冊です。

K.S