82年生まれ、キム・ジヨン

82年生まれ、キム・ジヨン
書籍名82年生まれ、キム・ジヨン
著者チョ ナムジュ
出版
情報
筑摩書房
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記号
929/チ

この作品は韓国で2016年10月に刊行され、日本では2018年12月に初版が発行されました。
韓国における82年生まれに最も多い名前キム・ジヨンという、一般的で平凡に歳を重ねていく女性の人生に当たり前にひそむ困難や差別が淡々と書かれています。

著者のチョ・ナムジュさんは1978年ソウルに生まれ、放送作家として社会派番組を10年間担当していました。この著書は1年足らずで10万部を突破する大ベストセラーとなり、今では韓国内だけで100万部を超え、日本でも9万部を超えてさらに伸びています。(2019年7月現在)

私が一番考えさせられたことは、母親になった後のキム・ジヨンでした。
子どもができたため、悩みに悩んで仕事をやめます。しかし、お金がなく専業主婦のままではダメだと思いますが、子育てをしながら働くことが難しい。そして何より子育てをしていることに対しての誹謗中傷があります。家事・育児は女性がやるものという社会全体の考え、また、それが誰にも評価されないこと。
韓国も出生率が0.87と下がっており、日本同様、少子化が進む一方です。このように数字で明らかに見えてきているのに、なぜもっと家事・育児に対する人々の考えや意識などが変わり、女性が働きやすく、生きやすい社会にならないのかと私はいつも思います。

この作品のなかに描かれているエピソードは、女性の誰にも起こりうることばかりです。あらゆる場面に女性だからこそ受ける被害が書かれています。私は、女性なのだから仕方がない、当たり前だと思っていたことが、これは差別であるという事を知り、まだまだ気付くべきことがあると実感しました。

K・R