ヤングケアラー わたしの語り

ヤングケアラー わたしの語り書影
書籍名ヤングケアラー わたしの語り
編者澁谷 智子
出版情報生活書院 2020年
請求記号369/シ
”ヤングケアラー”とは、家族にケアを要する人がいる場合に、大人が担うようなケア責任を引き受け、家事や家族の世話、介護、感情面のサポートなどを行っている18歳未満の子どもをいいます。引用:厚生労働省ホームページ 一般社団法人日本ケアラー連盟作成イラストより)

本書は、実際に介護やケアを経験した元ヤングケアラー7人が執筆しています。

病気の親のケアをしていた人たちや、障がいを持ったきょうだいのケアをしていた人、認知症の祖母のケアをしていた人、耳の聞こえない両親のケアをしていた人など、ケアの対象は様々です。

「元ヤングケアラーたちは、日頃、インタビューに丁寧に答えていても、かなり長い語りの中から、書き手が選んだ一部しか使ってもらえない。それは、たいていヤングケアラーとしての苦労の部分になってしまう。そうではなくて、ケアの経験が自分にとってどういうものであったのか、どう文章を始めどう展開し、どう終わるかも含めて彼らの視点で彼らのストーリーで書いてもらいたい」と編者である澁谷さんこの本を作ろうと思った理由を綴っています。
そのため内容も、ケアのこと、日常生活との両立、自分の気持ちや心の葛藤、ケアした経験から得たこと、将来のこと、ケアを振り返ってみてなど、7人がそれぞれありのままを書いています。

この本を読んでいく中で、たくさんの悩みや葛藤を抱えながら、ケアを担っていくヤングケアラーたちに衝撃を受けました。また、自分がヤングケアラーであると知らない人が多いことにも驚きました。

日本では、最近ヤングケアラーがメディアなどに取り上げられ、注目されるようになりました。
また、厚生労働省や文部科学省で連携して、プロジェクトチームを設置し、ヤングケアラーの把握や支援の検討、相談体制の充実にも取り組まれています。

これから、ヤングケアラーの認知度がさらに上がり、周囲の理解だけでなく、支援もさらに拡充していってほしいと思います。

ぜひ、一度は読んでいただきたい一冊です。

S.K