真綿の檻


書籍名真綿の檻
著者尾崎衣良
出版
情報
小学館 2022年
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記号
726/オ
コピー
ライト
(c) 尾崎衣良/小学館フラワーコミックス

 

「深夜のダメ恋図鑑」などの著作がある尾﨑衣良のコミック作品。
第1章「榛花篇」では、一見昭和の時代を思わせる男尊女卑的な若夫婦の関係を、義理妹、実弟、実母、そして本人たち、つまり夫、妻の視点から描いています。
妻の母親の負傷をきっかけに開かれた家族会議。奴隷のように夫に尽くす妻に、家族は介護を名目に実家に帰って来るよう促すのですが、そのとき、妻が返した言葉は予想外で強烈なものでした。

「はたして、妻は奴隷だったのか、彼女にとって家は牢獄だったのか」

妻の視点、夫の視点から語られることで、妻の意外な言動の理由が明らかになっていきます。
性別による姉弟間格差、性別役割分担意識などが背景に織り込まれ、とくに自分を犠牲にして尽くすだけの人生を送ってきた母親と、母の助けになろうと懸命だった娘との母娘関係のすれ違いを描いた場面では、固定概念や思い込みによる先入観にはっとさせられます。
家族の絆や歪んだ愛情、女性の生き方などをテーマにした作品です。

T.M