書籍名 | ぼくのまつり縫い |
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著者 | 神戸 遥真 |
絵 | 井田 千秋 |
出版情報 | 偕成社 2019年 |
請求記号 | 913/コ/児 |
書影出典 | 偕成社 |
ある日、怪我で休部中に自分の制服ズボンのほつれた所を教室で縫っていると、クラスメイトの女の子に被服部の助っ人を頼まれます。
主人公は手芸が好きですが、小学五年生の時にエプロンを作る実習で、余った布を使いフリルをつけたことがクラスの男子に見つかってしまい、しばらく「フリフリ」とあだ名をつけられ、からかわれ続けました。そのことが原因で手芸が好きなことを友達に言えず隠そうとしますが、いろんなことがうまくいきません。
そんな時、主人公はよく行く手芸店のゴスロリ服を着た店員と話をして、本当に好きなことを隠すことは難しいことや服装について変なことを言われてもどうしようもない、みんなに理解してもらうことはムリだと言われます。
主人公はその堂々とした姿勢にカッコよさを感じると同時に、自分のことを理解してもらうことを諦めるのはでなく、「友達には理解して欲しい」という自分の気持ちに気がつきます。
思春期の人間関係は複雑です。少しでも他の人と違ったりすると囃し立てられたり、友達関係がうまくいかなくなる場合もあります。特にこの頃の友達関係の大変さは、共感できる人も多いのではないでしょうか。主人公も周りの人に影響を受け、悩み葛藤しながらも、自分に向き合います。そして最後には、「ぼくはぼく」であると思えるようになります。自分らしさとはなにか、を考える作品として読んでほしい一冊です。
K.S