書籍名 | ダイエット幻想 やせること、愛されること |
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著者 | 磯野真穂 |
出版情報 | 筑摩書房 2019年 |
請求記号 | 児367/イ |
「やせたい!」「ダイエットしなきゃ!」という声をよく耳にします。
では何故人はやせたいと願うのでしょう。
著者は文化人類学者の立場から、やせたいという気持ちの輪郭と中身を、承認欲求との関係、ジェンダーとの絡み、さらには世界にあるさまざまな理想体型やその歴史的変遷にも焦点をあてて明らかにしていきます。
ダイエットを始めるきっかけは多様ながら、若年女性では他者からの評価が上位に来ます。重さをコントロールすることで他者から評価されることを「自分の身体が他者からの呼び声で満たされる」と著者は表現します。「やせたいのか、やせたいと思わされているのか?」という問いかけが新鮮です。
やせの基準が厳しい日本では極度に痩せていることを「シンデレラ体重」=ガラスの靴をはいて運命の王子様に出会える体重と賞賛される傾向にあります。現代の社会では自分の意志、考え、自分らしさ、ありのままの自分といったことが求められる反面、女性は「愛される」「選ばれる」立場に立とうとする、あるいは立たされる傾向にあると警鐘を鳴らします。知らず知らずのうちにダブルバインドの渦中にいる状況に気づかされます。
やせたい気持ちを否定するのではなく、その気持ちはどこから湧いてくるのかを自分に問いかけ、うまく付き合っていくことを考えるために10代20代の女性に読んでほしい一冊です。
U.M