はいからさんが通る


書籍名はいからさんが通る
著者大和 和紀  ©大和和紀/講談社
出版
情報
講談社 1995年
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記号
726/ヤ

『はいからさんが通る』、ご存知の方も多いのではないでしょうか。1975年から1977年にかけて、講談社の『週刊少女フレンド』にて連載された不朽の名作です。
過去にはテレビアニメやテレビドラマにもなり、連載終了から40年が経つ今年は、10月に宝塚歌劇団による舞台公演があり、11月には新作の劇場アニメーションの前編が公開され、いま再び注目を集めています。

世代を超えて愛されるこの名作、しかし恥ずかしながら私、アニメの主題歌は口ずさめるものの、内容はよく知りませんでした。大正生まれのチャーミングレディのハートフルコメディだと思っていたのです。

原作は大正7年から関東大震災が起きる大正12年の東京が舞台。はいからさんこと花村紅緒と許嫁の伊集院忍少尉との恋を中心に物語が描かれています。
大正当時の流行歌や風俗・事件、連載当時に流行したギャグなどを織り交ぜて、恋愛はもちろん時代物・コメディとしても楽しめます。

しかしこの作品、それだけではありません。
各タイプのイケメンを揃えて恋を描く少女漫画のキモを抑えつつ、女学校が「良い妻・良い母になるための良妻賢母育成学校」だった時代に、女にはそれ以外の生き方もある!と職業婦人として生きる少女を描いているのです。「女は家のため、夫のために尽くすべし」という価値観が強かった時代に、自分の意思で自分の生き方を決め七転八倒する紅緒の姿は、現代の女性も共感する所が多いはず。かく言う私もすっかり紅緒のファンになってしまいました。ただ、お酒の席を共にするのは遠慮したいです。

恋愛、歴史、仕事…1冊でいろんな楽しみ方が出来るこの作品。知ってる人も知らない人も、この機会にいかがでしょうか?

K・H