書籍名 | サフラジェット 英国女性参政権運動の肖像とシルビア・パンクハースト |
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著者 | 中村 久司 |
出版 情報 | 大月書店 2017年 |
請求 記号 | 314/ナ |
3月8日は「国際女性デー」。
今年も世界各地でデモやストライキが行われ、日本でもウィメンズ・マーチが行われました。
女性というだけで不当な扱いを受けたり、不利益を被っている現状に声を上げ、人としての権利を獲得する。イギリスでは19世紀後半に工場で働く女工たちがストライキを起こしたことをきっかけにして労働者運動が活発になり、その動きが女性参政権運動の大きな盛り上がりにもつながっていきました。
本書ではイギリスの女性参政権運動の中で「サフラジェット」と呼ばれた闘争的な活動家たちと、その中でも生涯を運動に捧げたシルビア・パンクハーストを取り上げています。
昨年日本でも公開された映画『未来を花束にして』(原題:Suffragette、映画公式HPhttp://www.longride.jp/mirai-hanataba/index.php)。サフラジェットの活動を描いたこの映画でも破壊行為や命がけのハンガーストライキなど、権利獲得のために闘う女性たちの姿が描かれましたが、本書では更に詳しく彼女たちの闘争の歴史が記されています。
そして闘争派の団体として知られたWSPU(女性社会政治同盟)を設立したエメリン・パンクハーストの二女シルビア。
イギリスで「わたしたちのシルビア」と親しまれている彼女はパシフィストとして活動し、闘争的な活動家とは一線を画しながら誰よりも多く逮捕・投獄されました。破壊活動を主軸とした母親たちの影に隠れて、日本国内の資料ではあまり取り上げられていなかった彼女。しかし本書では、女性参政権だけでなく貧困層の労働運動や反戦運動にも奔走し、弱者に寄り添い闘い続けた彼女の姿を知ることができます。
映画だけでは不足していたサフラジェットたちの闘争の歴史、そして「わたしたちのシルビア」と称えられる一人の女性活動家の足跡。今ある女性の権利は、どのような闘いから獲得へと至ったのか。
今を生きる私たちが知っているべき歴史だと思いました。
K・H