書籍名 | 元気になるシカ |
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著者 | 藤河るり |
出版 情報 | 東京 KADOKAWA (メディアファクトリーのコミックエッセイ) 2016年9月 |
請求 記号 | 916/フ |
去年の春頃、ネットで流れてきた漫画で印象に残っていたものが書籍化されました。
とてもいい内容だと思っていたので「情報ライブラリーに入れたい」と思っていました。
その、念願かなって所蔵した本です。
わたくし、これでもオタクのはしくれですので、コミックエッセイにはうるさい方です。それでも絶対これは買いです。
主人公は、アラサーからアラフォーにさしかかる、BL漫画を描いている漫画家。藤河るりさん(@shika888)
〆切明けに台湾に旅行しようと成田空港で搭乗待ちしていた時に激痛に襲われます。
一人旅です。
出国手続きも済ましていた免税店で倒れて救急車で運ばれると、
「卵巣嚢腫が捻転している」「精密検査へ」と。
もちろん台湾には行けません。
精密検査の結果は「卵巣がん」かなり進行していて入院に。
「がん」だということにまずショックを受けますよね…。
主治医はズバズバとものを言うタイプで超ドS。
全摘出するのか、検査の結果では微妙な状況を説明されます。
全摘出すれば、もう出産はできません。
彼氏もいない、出産も予定がない。だからって決断は簡単じゃない。
ここまでは、ドSでズケズケ物言う主治医が、ぽろっとこぼしたセリフに、
わたしは読んでいた新幹線の中で泣きました。
その後の抗癌剤治療、髪が抜けていくこと、吐き気、食事…。
わたしたちが「なんとなく」しか知らなかった「がん治療」について、
包み隠さず、でもどこか前向きな明るさで描かれます。
途中、何度もつらくて悩んで葛藤する。
そのことも、きちんと描かれている。(でも絵はシカww)
その中で、何を食べて、何を心がけて、そして漫画家という仕事に戻るまで。
支えてくれる友人のセリフ。仕事先の編集者の励まし。
もし同じ状況になった時、何を持って入院すれば便利か、などなど。
藤河さんのブログでも本文が紹介されているので、
気になる方はぜひこちらもチェックしてみてください。
ブログは漫画家らしく、漫画の作画プロセスなども紹介されていて面白いです。
イマドキはパソコンで漫画を描くのですが、その機材やソフトも見れますよ。
漫画家になりたいなー、という方にもオススメ。
本は情報ライブラリーで所蔵しています。
貸出中なら予約もできますのでカウンターまでお声掛けください。
ぜひ、紙の本で、
できれば泣いても大丈夫な場所で、じっくり読んで欲しい一冊です。
S.F