書籍名 | カルバニア物語 1~16 |
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著者 | Tono |
出版 情報 | 徳間書店(Chara comics) 1995年 |
請求 記号 | 726.1T |
※画像は徳間書店様の許諾を得てサイトから掲載しています
当情報ライブラリーでは、新しいコミックはほとんど買えません。
それは予算上の問題であったり諸々ですが、この本はみなさんに読んでほしいから、と寄贈されたコミックです。
カルバニアでは若くして王が亡くなり、王女タニアが王位につきました。
「女が王様なんて」
「年若い女王なんて初めてだ」
「威厳がたりない」
やがて、その話に尾ひれがつき
「女王は美しさのために生き血を浴びている」
「そういえば誰かの娘がさらわれたらしい」
民衆は城の前に集まって「女王反対」と叫びました。
そこに現れたタニア女王は
「行方不明者が出ているならすぐに捜索隊を出しなさい!」
「書記官は娘の名前、特徴や年齢を、記録を!」
とまさに「王」として「政治」として正しく毅然と対応します。
尾ひれのついたデマですから
本当に行方不明などどこにもいないのです。
コミックで少女漫画、おとぎ話風の絵柄。
でも、主人公たちは『人として』ふるまうことで
社会が『女性だから』と制限し、押し付けることを
軽やかにクリアしていきます。
タニア女王以外にも、
男子の跡取りのいない公爵家の長女エキュー、
女性を愛せない公爵
政略結婚からの家族不和
立派な体格で男性のお針子 などなど
さまざまな登場人物が「自分らしさ」を追求する物語です。
ジェンダーのことを、まっすぐに描いたものではありません。
物語には男女共同参画なんて一言も出てきません。
それでも、これを読んだ男性の友人は
『このマンガで、僕は女性やこの世界のジェンダーの問題が理解できた』
と話してくれました。
16冊、現在もタニア王女とエキューたちの活躍は続いています。
ぜひ、男性にも、気軽に読んでみて欲しいコミックです。
(F・S)