書籍名 | よりよく生き延びるー3・11と男女共同参画センター |
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著者 | 公益財団法人せんだい男女共同参画財団/編 |
出版 情報 | 新潮社 2017年 |
請求 記号 | 379.4/セ |
―3・11以降、「そんなことは起こらないだろう」という根拠のない言葉は口にできなくなりました。「あるかもしれない。考えたくないが、もしかすると今は大災害の前日だったり、直前かもしれない」という認識の方が被災地の当たり前かもしれません。
(略)わたしたちの体験を通して、それぞれの地域の防災の取り組み方へのヒントを見つけていただけることを願います。―(あとがきより)―
女性たちが「こう思う、こうしたい」と言えなかったのが3・11なのかもしれません。
私が気になったのは震災と10代女子。
ちょうど阪神・淡路大震災を体験した時、私は中学校3年生でした。
中学校最後の冬の記憶は、ほとんどありません。
春になって、ようやく日常生活に戻り始めたことだけは覚えています。
「学校が始まると友達に会えるのはうれしいけど、お風呂に入れず、体の臭いが気になってあまり喜べなかった」
「体育館が避難所になって、避難所のひとたちが大変だとわかっていても、部活ができなくて悲しかった。そういう自分がイヤになった」
当時、みんなでよく話していたことですが、東日本大震災でも同じように感じていた若い女性が多かったようです。
子どもや母親には目が向きやすい支援も、こと若い女性や女子中学生に対しては行き届きにくいということ…。
そこで被災地の女子学生が、全国に呼び掛け被災地の10代女子向けのプレゼントを全国に募るプロジェクトを立ち上げました。参加者の学生からは「誰かのために活動したつもりだったけれど、自分のためになった」という声も多かったそう。
できることがあるということは、自分には他人のために使う力があると気づくこと。
支援されている側が、「何かをする側」、支援することで力を取り戻せたのです。
わたしたちも、このように働きかけていくことが必要だと改めて感じた一冊です。
(M.Y)