書籍名 | 無戸籍の日本人 |
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著者 | 井戸 まさえ |
出版 情報 | 集英社 2016年 |
請求 記号 | 324/イ |
「無戸籍の日本人がいる」
私にとって「戸籍がある」のは当たり前のことでした。
この本に出合い、「戸籍がない」ひとたちがいて、そのひとたちがどんな暮らしを送っているのかを知りました。
今もなお対策を打ち出せていないという事実に驚き、悲しく思います。
これは、江戸時代の話でも、戦後の混乱期の話でもありません。
現在の日本、北海道から沖縄まで至る所にいるひとたち。
法務省が行った無戸籍者の実態調査(2015年11月)では、680人となっています。
しかし、回答率は20%と低く、8割の自治体は「把握せず」と回答し、その数は完全には把握されていないのです。
本書では、悪いことをしているわけでもないのに、
いつも「後ろめたさ」を抱え「隠れている」「隠されている」という
不安とともに生きる無戸籍者の姿が描かれています。
著者は、自分の子どもが無戸籍になったことをきっかけに、この問題をなくそうと関わり続けてきました。
無戸籍者が生まれ続けてしまう原因と問題の背景を深く掘り下げたノンフィクション作品です。
解決への道は、何よりもまず、現実を知ることからはじまると確信できる一冊です。
Y・M