書籍名 | 百年の女 『婦人公論』が見た大正、昭和、平成 |
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著者 | 酒井 順子 |
出版 情報 | 中央公論新社 2018年 |
請求 記号 | 367.2/サ |
『婦人公論』は大正5(1916)年に創刊され、平成28(2016)年に100周年を迎えました。明治最末期、平塚らいてうが創刊した『青鞜』は基本的に女性の作品のみを載せ、作り手もすべて女性であったのに対して、『婦人公論』の編集・執筆者は圧倒的に男性が多かったようです。創刊時の綱領に、「高尚にして興味饒(ゆた)かなる小説読物を満載して以って現代婦人の卑俗にして低級なる趣味を向上せしめ」という言葉があります。男性が女性を啓蒙するという上下関係をこうもはっきり明記していることに、まず驚きました。そして読み進めるにつれて、現在私たちが当たり前に思っている権利や自由、制度が、当時の女性たちにはちっとも当たり前ではなかったことに改めて衝撃を受けます。
男性主導で始まった『婦人公論』ですが創刊当時より現在に至るまで、保守的な意見から革新的な意見まで、女性にまつわる様々な事象に関する幅広い記事を掲載し、三つの時代をまたいで女性たちに受け入れられてきました。その100年を辿る本誌からは、女性たちが何に興味を持ち、何に悩んだのか、そしてどのように生きたのかが色濃く伝わってきます。
読了後、100年先の未来に思いを馳せてみました。昨今世間を大きく賑わせている「セクハラ問題」や「医学部入試女性差別問題」も、「100年前にはそんなことがあったの!?」と驚き、失笑されるような社会であってほしいと切に願います。
U.M