書籍名 | 私たちにはことばが必要だ フェミニストは黙らない |
---|---|
著者 | イ・ミンギョン |
出版 情報 | タバブックス |
請求 記号 | 367.1/イ |
「今は女性の方が優遇されている。逆差別じゃないか」
「ごく一部の話なのに、そんなに怒らなくても」
「女性への差別も問題だけど、〇〇問題の方はどうなの?」
女性への差別に対して声を上げた人に向かって、このようなことばが投げかけられるのは珍しくありません。
とっさに何も返せなかったり、誠意をもって説明しても徒労に終わったり、自分の知識不足が悪いのではないかと感じることもあります。
本書は、ネットや現実で飛び交うこうした発言にどう返したらいいか迷っている人におすすめしたい一冊です。シチュエーションごとの会話例もありますが、大部分は基礎編として対話を始める前に考えておくべきことが書かれています。
基礎編は「あなたに答える義務がない」というところから始まります。「言い返すことばを知りたいのに」と思うかもしれませんが、本書を読むとこの出だしが大切なのだとわかります。
冒頭のような発言を受けたとき、私はまず「どう反論しよう」「どう話したら理解してもらえるだろう」と考え始めます。ですが、その前段階である「答えない」という選択肢が抜けていたことに本書を読んで思い当たりました。答える義務はなく、答えるかどうか決める選択権は自分にあります。
基礎編に書かれている、素朴な疑問を装った発言の裏に隠れているもの、相手の態度から読み取れること、差別に対する相手のスタンス、などが答えるかどうかの判断材料になると思います。それを踏まえることで、実践編の「会話の終わらせ方」や「会話法」が自分の中に落とし込めるようになると感じました。
F・K