書籍名 | 「男女格差後進国」の衝撃 無意識のジェンダー・バイアスを克服する |
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著者 | 治部 れんげ |
出版情報 | 小学館 2020年 |
請求記号 | 367.1/ジ |
世界経済フォーラムが2021年3月に発表したジェンダー・ギャップ指数で、156ヵ国中、日本は120位でした。先進国では最下位。多くの新興国や途上国、日本政府が開発援助している国々よりも低い順位でした。
どうして日本の男女格差は縮まらないのか。著者は、日本の多くの人は「日本は男女格差が大きい」と実感しないで暮らしていることが一番大きな原因ではないかと考えます。
本書では、他国や日本、地域での取り組みを紹介し、私たちができることは何かを提案しています。
ジェンダー・ギャップ指数では、政治、経済、教育、健康の4項目で国内の男女格差を測っています。日本は、政治分野では女性の進出が遅れており、非常に低い順位でしたが、教育分野では識字率で男女差はなく、健康分野では健康寿命で女性が男性を上回っています。経済分野では、政府が「女性の活躍」を成長戦略のひとつと位置付け、男女平等を目指し努力を続けていますが、他国はもっと女性活躍を推進し、成果を上げているのです。
SDGS5分野目は、「ジェンダー平等を実現しよう。」です。世界では、ジェンダー・ギャップの解消を長期的な経済問題解決のために必須と考えるようになっています。日本でも2019年5月1日から「30%クラブ」が発足し、上場企業の女性役員比率30%を目指す取り組みが行われています。
また、ESG投資では、投資家が企業に女性役員登用を働きかけるなど、ジェンダーの視点で、多様性の推進を求めています。
私たちの暮らす社会では、多くの人の中に無意識のジェンダー・バイアスが深く根付き、本人の意思や希望、得意不得意に関わらず、「性別」に基づいてやるべきことが決まってしまうことがあります。社会を変えていくことは容易ではありませんが、私たち一人一人が、日々の生活のなかで何気なく出てくる、「男だから」、「女だから」という無意識の決めつけや思い込みに気づき直していくことで、ジェンダー平等な社会へと少しずつ変えていくことができるのではないでしょうか。
K.H