書籍名 | 私だけ年を取っているみたいだ。 ヤングケアラーの再生日記 |
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著者 | 水谷 緑(著/文) |
出版情報 | 文藝春秋 2022年 |
請求記号 | 369/ミ |
著者の水谷 緑さんは、精神科病棟で働く看護師の物語「こころのナース夜野さん」シリーズや「精神科ナースになったわけ」など、人のこころや生きづらさに焦点を当てた作品を数多く描いています。
本作の主人公ゆいは母が統合失調症を発病したことをきっかけに、買い物・料理・掃除・洗濯・認知症の祖父の見守り・母の精神面のサポートなどあらゆる無償労働を担います。こうした本来なら大人が担うべき家事や介護をする子どものことを「ヤングケアラー(子ども介護者)」といいます。ヤングケアラーとして傷つきながらも懸命に生きるゆいの姿が、優しいタッチで描かれています。
ゆいの父親は「女の子だから」という理由で、家事やケア役割を娘(ゆい)に押し付け、息子には家の手伝いを一切させません。「女の子だから」家族の面倒を見なければいけないのでしょうか?「男の子だから」勉強ができればそれでいいのでしょうか?本書を読みながら、みなさんもぜひ一度考えてみませんか。
重くシリアスなテーマですが、読後感はさわやかです。ヤングケアラーについて知りたい方には入門書として大変おすすめの作品です。
M.Y