書籍名 | 彼女の名前は |
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著者 | チョ・ナムジュ |
出版情報 | 筑摩書房 2020年 |
請求記号 | 929/チ |
彼女たちを取り巻く社会は、職場でのセクシャルハラスメントや不安定な雇用など不条理に満ちていて、重たく苦しい気持ちになります。それでも、社会を変えようと行動を起こす姿や押しつけに屈することなく自分の考えを持つ姿に力づけられます。
セクハラを受けた女性は次の被害者を作らないために闘い、派遣の清掃員である女性は雇い止めを通告された同僚のために声を上げます。
この本が韓国で刊行されたのは2018年ですが、生活困窮で生理用品が買えない中学生など現在の日本の状況とも重なる部分が多くありました。
また、小学生になる子どもを抱えて仕事との両立で忙しい毎日を送っていたり、仕事に打ち込みながら結婚を焦る気持ちを抱えていたりと女性たちの日常的な悩みも描かれています。エピローグ直前に登場する小学生のスピーチは頼もしく、ほんの少しずつでも社会が良くなっていく未来を感じさせました。
不条理な社会に生きる女性たち一人ひとりに「彼女の名前は」とスポットライトを当てた小説です。
F.K